最近、異様なまでに「不倫」に対する世間の目が厳しいと思う。
育休なんて言ってた国会議員が、妻の出産前に不倫していたとか、
その上、国会議員の仕事は合コンとしか思ってないなどという、
明白な「公私混同」は当然責められるべきだろう。
国民は国会議員を不倫させるために税金払ってるわけじゃない。
ゲスの極みのボーカルのように、不倫相手を正月に実家に連れていく
というのも、不倫が本来、忍ぶ恋だというルールを逸脱しすぎている
ので、非難されるだろう。
そもそも不倫は一般的には肯定されるものでも、共感されるものでも
ない。それは原則だ。
だが、それにしても、最近の不倫すべてを糾弾する風潮は異常だと
思う。
昔から歌謡曲では不倫を題材にした名曲が次々に生まれていた。
テレサテンの「愛人」「時の流れに身をまかせ」「空港」「つぐない」、
竹内まりやの「シングルアゲイン」「マンハッタン・キス」そして
「純愛ラプソディ」、
久保田利伸の「Missinng」は超名曲だった。
浜田省吾の「紫陽花のうた」「陽のあたる場所」などはよく歌った。
サザンオールスターズの「LOVE AFFAIR」は大好きな曲だ。
小林明子の「恋に落ちて」、一青窈の「ハナミズキ」、そして
JUJUの「この夜を止めてよ」等々、不倫を題材にした名曲は
まだまだある。
不倫こそが本当の恋愛だと言ってもいいくらい、それらの曲は
切なくて美しい。
恋愛は障害があって燃えるものだから、現代では「許されぬ恋」と
しての「不倫は文化だ」という言葉はあながち間違いではない。
むしろ不倫を題材にした歌が出なくなったから、歌謡曲がここまで
衰退したのではないかと思えるほどだ。
最近の風潮では、若者ほど「不倫」や「反体制」を責めるそうである。
ある意味、保守化していると言われるのだろう。
つまらない保守化だ。
千田有紀という社会学者の意見では、若者にとって「不倫」は結婚
という「特権」を持った者たちによる、未婚者の性的自由への
越権行為になるらしい。
「反体制」についても、サラリーマンになれない若者たちの、
「反体制とか気楽に言えた世代の大人って楽でいいよな」という
反発から生まれていると分析している。
なるほど、勉強になる。
格差が拡大するばかりで、20代の半数が貯蓄額0のままだという。
結婚もできない、正社員にもなれない若い世代のルサンチマンが、
大人に対して反抗する世論が、不倫バッシングに繋がっているの
かもしれない。
つまらない時代になったものだ。
このつまらない時代を作ったのは、もちろん安倍政権である。